今日職場で専門学校以来、19年ぶりにシガレットを作った。
シガレットとはチョコレートを大理石の上に薄く伸ばしてクルクルっと巻き、タバコ(シガレット)状にすると言うチョコレート細工の一環である。
チョコレートの作業は湿度と室温の調整が大切なので、フランスの厨房には大抵チョコレート専用の部屋がある(´ω`)
私の職場にも例に漏れずチョコ部屋があり、天井の低い小さな部屋で集中するにはもってこいの空間になっている。
シガレット作りは難しい仕事ではないので、作業に慣れて来るとある事を思い出すと同時に考え事を繰り広げていた・・・
集中せーーよ!ってか・・・笑
まぁ、それはよしとして。。。
専用学校ではチョコレートの授業はほぼ無いに等しく、もしもっと踏み込んで学びたいなら有料でチョコレート専攻の授業を取らねばならなかったこと。
女手一つで高額の専門学校に行かせてくれた母が、私を一流のパティシェにするべく、専攻科目を1つ選ばせてくれたこと。それで私はチョコレートを専攻した。
そしてさらに姉妹校だったフランス校にまで送り出して仕送りしてくれたこと。
あれがあったから今、自分の創作したお菓子の仕上げにシガレットを飾れるんだ。
あれがあったから私は今、フランスで働けているんだ。
お母さん、私はあの時の恩を十分に生かせているだろうか・・・?
またこんなことも考える。
同じような仕事で、エヴァンタイユ(扇)と言うのがある。
その名の通り今度は扇状にチョコレートを細工する。
日本での修業時代、師匠があるお菓子の仕上げにエヴァンタイユを採用した。師匠は私たちに言った。
『こんな手間な飾り、なかなかせーへんやろ?今のうち(修業中)にやっとき、いつか役に立つから』
初めはなかなか上手く出来ない私たち、時間もかかります,,,,
その時間のしわ寄せを、何も言わずカバーして働いてくれていた師匠。
みんな師匠に憧れて、師匠を目指していたから同僚はみんな志が同じで仲が良かった。
まるで太陽に向かう、ひまわりみたいだった。
エヴァンタイユはシガレット同様しっかり今も私の技術の引き出しに入っている。
仲の良かった同僚達は今も良き仲間でみんな立派なシェフになって活躍している。
師匠、私は頂いた思いを後輩たちに引継げているでしょうか・・・?
【思いを受け継ぐ】
思いって愛なんだな。
受け継いだ愛は最大限に体現して開花させる。
そして開花した種を、私もまた惜しみなく引き継いでいく。
大切なのは貰った愛を忘れないこと。
つづく